家庭用エアコンの寿命は10年といわれており、業務用エアコンの寿命も10~15年とされています。
しかし、耐用年数はこれらにあてはまりません。
タイトルにある耐用年数と寿命は必ずしもイコールではなく、寿命とは別に経理上の手続きに不可欠な概念です。
この記事では業務用エアコンの耐用年数と、関連して固定資産税における減価償却について詳しく紹介したいと思います。
ぜひ、参考にしてみてください。
■業務用エアコンと減価償却の関係
ここにある耐用年数とは、一般的に法定耐用年数のことを指します。
法定耐用年数は国が指定した年数のことで、メーカーが発表しているものではありません。固定資産税を計算するために必要なものです。
固定資産税は土地や建物以外に、償却資産というものにもかかります。
総務省のホームページによると、償却資産は「会社等(事業者)が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、備品(パソコンや工具など)など」と定義されています。
つまり、業務用エアコンは事業を行う際に用いるものなので償却資産にあたり、固定資産税がかかりますよ、ということです。
ただし、エアコンは使うほどに寿命が削れていき、価値がどんどん下がって、故障すれば資産価値がゼロになります。
このような時間がたつにつれて価値が下がるという考え方を減価償却といい、これにあてはまるものを減価償却資産といいます。
耐用年数はこの取得から故障まで一般的に使えるとされる年数を国が定めたものです。
リースの場合は除きますが、減価償却は会計上の処理方法としてローン購入・一括購入のどちらでも、取得費をその固定資産の耐用年数分で割り、年ごとの費用を計上します。
このような処理を行わないと、取得した年に多額の経費が計上されてしまうため、費用負担が大きくなります。翌年は少額だとしても利益が大きくなるため、法人税が多くかかることに。節税のためにも必要な概念の一つです。
■業務用エアコンの法定耐用年数
業務用エアコンの法定耐用年数は3つあります。
この3つは以下の条件にあてはまるか否かで分かれます。
① エアコンにダクトが通っており、建物の一部になっている(建物附属設備)
② 出力が22KW以上
③ ダクトを使わない、取付けの簡単なエアコン
①・②にあてはまるビルトイン・ダクトエアコンは15年。
①のみあてはまるビルトイン・ダクトエアコンは13年。
③のみあてはまるエアコンは6年とされています。
建物の一部になっているかどうか分からないときは、建設時からダクトなどの設備がつくられていたかどうかに着目してみてください。
なお、出力が22キロワット以上というのは、馬力で換算すると8馬力以上になります。
③のエアコンは壁掛け型・天井吊り型・床置き型など、多くの種類のエアコンがあてはまるでしょう。
業務用エアコンを取得したときの費用と減価償却費は、この年数分を用いて、毎年の支払額を導きます。
長く大事に使えば、お得になりますね。
さて、ここで思い出してほしいのがエアコンの寿命です。
冒頭のとおり、業務用エアコンの寿命は10~15年です。
15年と法定耐用年数があっても、10年目で故障する可能性があります。
15年と想定して計上していたのに、故障すれば損になります。
そのため、業務用エアコンはできる限り寿命を延ばさないといけません。
■寿命を延ばすためには?
結論からいうと、寿命を延ばすためには定期的なメンテナンスが欠かせません。
ここでいうメンテナンスというのは、クリーニングやパーツ交換のことを指します。
話はそれますが、スキージャンプの評価方法をご存じでしょうか。
スキージャンプは飛距離とフォームを判定して、点数をつけます。
無風状態なら、選手の純粋な実力が結果として表れやすいですが、追い風や向かい風があれば点数に影響がでますね。
とくに向かい風は浮力が働くので、飛距離が伸びます。そうなると、公平性を守るために減点補正がかかります。
減点はさておき、エアコンは長く使わないといけないので、飛距離ならぬ寿命を稼がないといけません。
メンテナンスは向かい風のようなもので、定期的に行えば稼働効率が上がり、機械にかかる負担が取り除かれます。
費用はかかりますが、結果的に節約となりますので、最低でも2~3年に一度の点検とクリーニングをオススメします。
飲食店や美容室、ペットのいる施設のほか工場にあるエアコンは油汚れなどが発生しやすいので故障を起こしやすく、普段からフィルター掃除を心がけたほうがいいでしょう。
そうすれば使用できる期間が延びる可能性が高まります。
■まとめ
業務用エアコンの法定耐用年数は取得費支払いに関わる大事な要素。そして、効率よくエアコンを使うためにはメンテナンスが必要です。
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